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弁護士紹介制度に関するシンガポール弁護士会とのMOU締結

弁護士法人ひかり総合法律事務所
代表社員 藤原宏高

 第二東京弁護士会(以下「二弁」という)は、4年の交渉を経て、2019年1月7日にシンガポール弁護士会との間で、弁護士紹介制度を実施するために必要なMemorandum of Understanding(MOU)を締結しました。

 私は、交渉開始からMOUの締結まで、二弁の国際委員会の1人として関わらせていただきましたので、今後、シンガポール弁護士会との間で構築する弁護士紹介制度についてご紹介させていただきます。

 国際委員会は、日本の中小企業の海外進出を支援するため、早い段階から外国弁護士会との間で弁護士紹介制度の構築に向けて、交渉してまいりました。

 例えば、日本の中小企業が東南アジアの拠点であるシンガポールに進出しようとすると、財務経理面だけではなく、各種法制度についても現地の調査が必要なケースが多々あります。しかしながら、シンガポールの弁護士に対して、どの様にアプローチしたらよいのか、必要な情報が入手できず、加えて英語で直接交渉することも困難なため、中小企業では調査を断念してしまうケースもあるものと思われます。これまで、国内案件を扱ってきた日本の弁護士も、シンガポールの弁護士とはコネクションがないケースもあるため、海外進出を希望する中小企業の依頼には、応えきれないというのが実情ではないでしょうか。

 私たちは、このような中小企業の実情を踏まえて、中小企業の海外進出を支援するため、台北弁護士会やシンガポール弁護士会との間では、お互いに弁護士を紹介する仕組みを構築しました。二弁の弁護士が依頼者から台北やシンガポールへの進出の相談を受けた場合は、二弁の国際委員会を経由することによって、台北弁護士会やシンガポール弁護士会に対して弁護士の紹介を依頼し、案件に適した外国弁護士を日本の依頼者に紹介することが可能となります。

 特に、国際仲裁の場面では、シンガポール(シンガポール国際仲裁センター)が仲裁場所と指定されるケースも多くなってきているため、シンガポールで仲裁手続を行う場合や、シンガポールで仲裁手続を起こされた場合など、シンガポールの弁護士を探す場面では、中小企業のお役に立てるものと思っております。

 私も、当初は交渉に自信がありませんでしたが、段階を踏む毎に自信がついてまいりました。MOU締結の場面では、二弁会長を代理して、シンガポール最高裁判所での新年式にもご招待していただきました。

 このような弁護士紹介制度が、今後、中小企業のお役に立つことを願ってやみません。

以上

本コラム中の意見や推測にわたる部分は、執筆者の個人的見解であり、ひかり総合法律事務所を代表しての見解ではありません。
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